「現代美術場外乱闘」 都築響一(著)を読んでみた。
タイトルからして気合が入っていてなかなか楽しげである。ページをめくると想像をはるかに超える気合の入った「作品」の連続技。最初の「秘宝館」から最後の「下半身蝋人形」まで場外乱闘しっぱなしで圧倒される。
さて最初の「秘宝館」。仕事柄建築はそこそこ見ていたつもりだが、日本の観光地に「秘宝館」と呼ばれる超ディープな観光スポット、文化があったとはまったく知らなかった。
本書では「鳥羽国際秘宝館」と三重県伊勢の「元祖国際秘宝館」の二つが取り上げられているのだが、一目見ればしばらくは夢に出てくるような凄まじいインテリア。現代にはびこるスノッブでシンプルモダンでおしゃれなインテリアセンスを良しとしている輩はいきなりまわし蹴りを食らわされること確実。(都築響一風)
これをただのエログロと言ってしまうのはたやすいが、70年代に作り出されたシュールな近未来感覚、生命誕生までのリアルな描写など、注がれたエネルギーの量は半端ではなく、そこでポーズをとる人形たちには神々しささえ漂ってくる。
70年代から80年代にかけて観光地・温泉街で世のお父様方は観光バスに乗って列を成し集っていたとあり、その光景を想像するとただただ驚愕。
その後本書は最後まで、一般良識のあるキチンとした方々は眉をひそめるようなページが圧倒的な勢いで延々と続きます。
しかし本書はそのような世間一般にキワモノと呼ばれる物・人・作品などを見せて喜ばせようという本ではありません。ここには著者のアートとはいったい何なのか?という真摯な問いかけが貫かれています。
もちろん建築をやっている我々にとっても、大きな問いかけです。
「TOKYO STYLE」や「賃貸宇宙」などで都築響一氏のことをご存知の方も多いと思いますが、僕がこの本を読んだのは熱狂的な都築ファン・・というわけではなく、実はこの「現代美術場外乱闘」の「最終カーブを曲がりきれない人のために」という章に僕の祖母・塔本シスコのことが載っているからなのでした。(2006年に滋賀県近江八幡にある「ボーダレスアートギャラリーNOMA」で開催された「快走老人録」の記事が載っています。)
しかしこの本、問題書である事は間違いなし。今の社会、アート界、もちろん建築界に疑問がある人、疑問がない人も必読です。都築響一風に言うならば「マスト・バイ」といったところでしょうか。
塔本シスコ・丸木スマ・石山朔 の3人による展覧会。こちらも絶賛開催中。
京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブは→こちら
会期:2009年7月17日(金)~2009年8月30日(日) 10:30~18:30(会期中無休、ただし8月16日のみ休館)入場無料
また、塔本シスコが8月5日~8月11日まで、京都市東山区四条通りにある ぎゃらりぃ西利 にて個展を行います。シスコが晩年何かに取り憑かれるように描いていた美輪明宏の肖像画を中心とした展示です。
今回は「塔本シスコはキャンバスを耕す シスコ・美輪明宏を描く」とのタイトルです。ギャルリ・オーブでのマイ・アートフル・ライフと合わせて是非ご高覧ください。
ぎゃらりぃ西利は→こちら
会期:2009年8月5日(水)~8月11日(火)11:00~19:00(金曜日20:00まで、最終日16:00まで)
塔本シスコ公式ホームページ
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