庫裏ができるまでの話①の続き。
福岡・Xのクライアントとビールを飲みながら夜中の2時か3時ごろまで新庫裏計画の話をした。
モーローとしながら家に帰ったんだけれども、さてどうしたものか。なにわともあれ現地を見てみなければ、ということで久方ぶりに福岡県小郡市に訪れた。記録を見ると2015年の11月末だった。
現地にて本堂、庫裏、納骨堂、保育園、敷地周辺建物内外を回って見て、当時の住職からもお話を伺って、問題点を確認していく。
本堂。こういうもんだといえばそういうもんなんだけれども、お年寄りには階段が厳しい。今は階段中央に手摺が付いているが当時はなかったみたい。
本堂に隣接する旧庫裏の玄関。用事のある方々、本堂や納骨堂でのお参りを済ませた方々はここから屋内に入って、話をしたりお茶を飲んだりする。玄関土間と上り口の高低差が50㎝ぐらいあってこれもまあまあ厳しい。隣接する味坂保育園の一輪車が置いてある。梅と桜の古木は現在も残っている。
本堂と庫裏の間の中庭。本堂の側面に廊下を増築している。湿気がこもり建物柱脚部分の傷みが激しく、床が下がっていた。
庫裏から本堂へ至る前室。右手にお内仏がある。法要の際僧侶はここから出入りしていた。また雨天時など、門徒の方々はこの動線を利用して本堂に行くこともあるが、お年寄りにとってはこの段差も厳しい。
総代会などの会議を行う座敷。10人ぐらい入るとちょっと狭い。
厨房。法要の際は2~30人集まって調理を行うのだが、ここだけでは狭いので外のプレファブにも厨房がある。お寺はいろいろ頂き物などもあるので、とにかく物が多い。寺族の台所も兼ねていた。
右から納骨堂、休憩所(ピンク色の建物)、庫裏、本堂。ピンク色の建物が目につくのと本堂が庫裏の屋根の陰になっているため、道路から見るとここにお寺があるということを認識されにくい。
本堂と庫裏の実測も行う。毎回思うが実測は楽しい。
・・・とまあ一通り作業を終えて、整理してみると、概要はこのようなものだった。
庫裏を建て替える主な理由
- 庫裏が古く、狭い
- 複数の座敷はあるものの、総代会や婦人会など10~30人ほどの会議を行うには狭い
- 法要の際お斎を調理する。2~30人集まって調理を行うが、厨房が狭く、設備も古い
- 昨今豪雨に見舞われることが多くなったので、浸水被害にあわないような建物にしたい
- 本堂へ至るには内外とも階段を上がる必要があり、足が悪いお年寄りには大変なのでバリアフリー化したい
- 通夜、葬儀、年忌法要などの法事を行える広いスペースが必要
- 門徒数は減少傾向にあるので、それに歯止めをかけるようなイベントを行えるような場所にしたい
- 寺族の住居は最小限でよい
・・というものだった。
老朽化だったり、狭かったり使いにくかったり・・という建物としての問題点も多々あるのだが、話を聞いていると、「このままではお寺がなくなってしまう」という強い危機感をお寺の方々が抱いているということを強く感じたのだった。