福岡県小郡市に建つ味坂保育園のRC造2階建て園舎。元々は4・5歳の年長児が利用する2つの保育室と、トイレと倉庫で構成された木造平屋の園舎が建っていたが、老朽化が進み、また手狭にもなったことで、建て替えることとなった。この保育園は隣接する光桂寺が運営している。敷地は元々光桂寺の境内である。
新園舎の1階は、年長児の利用する2室の保育室と、シャワー室やバリアフリートイレなどを追加した広めのトイレ、別棟に入っていた職員室、2階には面談室、会議室、倉庫などの機能を追加した。近年の豪雨災害の際の一時避難場所としても利用できるよう、RC造、2階建てという構造・規模となった。
この保育園の園庭は光桂寺の本堂までの参道でもある。その軸線を遮らないように建物は配置させ、既存建物、既存樹木を避けることで、自動的に建物の形態は決まった。
建物の主な室は北側の園庭に対して開かれている。2室の保育室も北面は園庭に面しているが、南面は光桂寺の駐車場と県道に面している。県道はトラックなどの大型車両が頻繁に通行するため、かなりの騒音がある。それを遮るために、壁面を高く立ち上げているが、その壁面の室内側は収納家具で構成している。その収納家具の一部には子供が1人か2人入ったり、登ったりできるような小さなスペースを設けている。この場所はある時は舞台であり、ある時はお店であり、ある時は1人で過ごす隠れ家である。壁と天井の取り合い部分はハイサイドの連窓である。日の移ろいが感じられる光で保育室内は満たされている。
2室の保育室の間には円筒形の半外部空間がある。ここも子供たちの秘密の場所である。
子供たちはこの園で1日のほとんどを過ごすことになる。ここで出会った人々、見たもの、触ったもの、におい、音、光、風、すべての現象が彼らを形作ることになる。ささやかではあるが、この建物が彼らの成長の刺激になることを祈っている。
竣工:2024年
構造・規模:鉄筋コンクリート造2階建て
延床面積:287.76㎡
サイン計画:ディクトムデザイン
構造設計:エス・キューブ・アソシエイツ
施工:匠建設





保育園新園舎完成記念 落慶まつり の様子



