大阪市内のマンションの1階駐車場を福祉施設にコンバージョンしたもの。知的障碍者・精神障碍者が利用する通所施設である。
元々は奥まった道路沿いの古い2階建て木造長屋で運営していて、1階が作業所、2階が事務スペースというものであった。1階の開口部は1間幅の入り口だけで、採光・通風が確保できておらず住環境が良くなく、また建物も古いため耐震性も低かったので、新たな施設を準備することになった。
物件探しから関わることになったが、うまい具合に通り沿いに建つマンション1階の駐車場が使えることとなった。多少車の通りは多いものの、通学路になっていて人通りも多かったので、施設内でどのような人が何をやっているのかがよく見えるよう、間口はすべて開口部とした。
この施設はプラスチックケースの袋詰めなどの軽作業も行っているが、野菜や果物、海産物などの食品の販売も行っており、リピーターもいるということだ。
開口部も少なく、中で一体何が行われているのか窺い知ることのできない施設も多々ある。それはそれそれで事情があってそのような形態をとったのかもしれないが、このコスモスという小さな施設はうまい具合に街の中に溶け込んでいっているのではないかと考えている。
竣工:2015年
延床面積:98.15㎡
施工:コアー建築工房
写真:塔本研作建築設計事務所