コスモス→インポッシブル・アーキテクチャー展 2020.01.27

先週の土曜日は生野区の福祉施設・コスモスの追加工事が開始となるので、工事内容・工程・配管具合などの確認のため朝から現地に集合。

 

コスモスは引き渡してから5年ほど経っているのだが、毎度きれいに使ってもらっているな、とお邪魔するたびに思う。屋外のデッキスペースはイぺという南洋材で作ったのだが、雨がかりだし西陽が良く当たる所なので良い感じにグレーに変色している。

 

 

 

ここの玄関土間はデッキスペースと同様にイぺ材で、仮設的にスノコで仕上げている。外部のデッキは素地のままだけれども、ここは屋内なので素地ではなくオイルフィニッシュ仕上げにしてしっとりした感じに仕上げてみたのだが、5年経った今もわりとその風合いを残している。

 

 

クライアントに、引き渡し以降オイルを塗りましたかと尋ねたところ、塗っていないとのことだった。

イぺ材などの南洋材は元々は船の甲板などで使われたりしているみたいなのでそれなりの強度は期待していたけれども、ちょっとオイルを塗っただけでこれぐらい風合いが保たれるんだったら店舗の床とかで使ってみてもいいんだなーという印象。

 

現場監督と業者さんとざっと打ち合わせした後工事開始。機器の取り外し、壁や天井の一部をめくって内部の配管・配線などの確認を行い、まーなんとか大丈夫ですね、ということで、あとは任せることに。

まだお昼過ぎぐらいだったのでそのまま中之島の国立国際美術館へ向かう。

 

 

国立国際はボルタンスキー展以来。ここでは今、インポッシブル・アーキテクチャー展が開催されている。

近現代のいわゆるアンビルトプロジェクトを集めた展覧会。

 

入ってすぐにマレーヴィチやタトリンの作品が出迎えてくれる。タトリンの第3ナショナル記念塔の模型が見れたのは素直にうれしかった。その後ミースの摩天楼コンペ案、分離派、メタボリズム等々続き、建築家の作品の最後を締めたのはザハ・ハディドの新国立競技場コンペ案だった。

 

コンペの際はもちろん、オリンピック招致の際も使用したであろう模型やビデオなども展示されていたが、個人的に目を引かれたのはアクリルケースに納められていた実施図面の製本だった。

キャプションには4000枚の図面を作成した・・と記載されていたが、ケース内にずらっと並んだ十数冊の分厚い製本図面や役所からの認定証などを見ていると、ここまでやって設計を下ろされるというのは本当に無念であったであろうとつくづく思う。

 

この設計案に対しては、コンペの開催方法、景観・規模、また建設費に関して様々な議論を呼び起こしたが、建設費の増額が決定打となり、この案は廃案となった。しかしそのような難題を解決し、皆に(ある程度)納得できる説明を行うのも建築家の責任・使命でもある。新国立競技場はザハ・ハディド案で進めるべきだったと思うし、まあわかってはいたものの建築というものはこうもあからさまに政治的に利用されるんだな、とも思う。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です