終の棲家・傾斜地に建つ浜松のローコスト小住宅 浜松・C 

浜松の人里離れた山中の傾斜地に建てるローコスト小住宅の計画案。
クライアントはいわゆる団塊の世代。退職を機に所有していたこの土地に終の住処を建て、土地を耕し、半自給自足の生活を計画していた。

いわゆる終の棲家、というやつだ。



一辺約5mの正方形プランの中に寝室、台所、浴室、便所などの諸機能が納まり、作業場が並列して、それらを大きな屋根が包み込んだ平屋の建物。延床はなんだかんだで30坪ほど。これをローコストで仕上げたい。

そこで一人で住むという(できれば夫婦で住みたいが奥さんはあまり乗り気でない)計画を聞いたとき、本当にそこで命尽き果てるような気がして平面形状はあっさり棺桶形にしてしまった。

しかしそれは悪意でも冗談でもなく、僕はこのクライアントがここで日中は一人畑を耕し、夜は様々な事柄に思いをはせ、変わり行く景色の中、風や雨や虫や鳥の声を聞きながら残りの人生を送り、ついに命果てればこの住処と共に朽ち果て大地に還ってゆく・・という情景がなんとも美しいものに思えたからである。

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